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患者さんに合わせて作ろう

吉田病院 リハビリです

回復期リハビリテーション病棟 作業療法士の大野です。

今回は、自主製作したテーブルについてご紹介します。

 

入院される患者様の中には、骨折などの影響で通常のテーブルでは手が上がらず、食事が摂りにくいという方がいらっしゃいます。

手が上がりにくい患者様にとってテーブルが高いことはかなりの負担になります。

そんな時に便利なものが、車椅子に直接乗せることができるテーブルです。当院でも、これまで「あったらいいなぁ」と思うことは何度かありましたが、対象となる方が少なかったこともあり、購入には至っていませんでした。

少し前のことになりますが、食事の時にもう少し低いテーブルがあったらひとりで食べられるのになぁ...という患者様が入院されました。担当の療法士と相談した結果、すぐにでも作ろう!ということで、ついに車椅子テーブルをつくるに至りました。

 

対象となる患者様の食事だけではなく訓練でも使用できるサイズ、かつ、当院で使用しているほとんどの車椅子に対応するようにつくりました。

くねくねフック。工夫次第で幅広く使える万能なスグレモノです。
くねくねフック。工夫次第で幅広く使える万能なスグレモノです。

市販のテーブルは車椅子への固定に面ファスナーや金具を使用しているものが多いですが、当院でつくった車椅子テーブルは、100円ショップでおなじみの「くねくねフック」を使用しており、針金をスポンジで包んでいるシンプルな構造ですが、フレキシブルで比較的安全に使用できます。

 

上の写真のように、患者様の体に合わせて前後調整も可能ですし、固定もしっかりと行えます。また、何度も繰り返し使用でき、誰でも簡単に着脱が行えます。

 

製作については至ってシンプルで、90cm×90cmの合板をカット+穴あけをするのみです。市販品の約半分のコストで製作可能です。

どこのご家庭にもある?かどうかは分かりませんが、電動工具(グラインダー、オービタルソー、電動ドリル等)があれば、つくることができます。表面には防水スプレーを塗布し水対策も万全です。

このテーブルをつくったことで、食事が摂りにくかった患者様がご自分で食べられるようになりました。

また、訓練でも使用することができ、病棟での生活がより良いものとなって、患者様からも喜びの声を頂くことができました。

 

市販品には及びませんが、少しだけ手間をかけることで患者様に合わせた良いものが製作できることがあります。

 

そのひと手間を惜しむことなく積極的にアプローチし、患者様の生活をより良いものにできれば、と日々心がけています。

 

回復期リハビリテーション病棟では、今後も患者様の日常生活の自立を支援し、生活の質を高めるお手伝いに、スタッフ一同取り組んでいきます。